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2012年8月25日 (土)

投げる・打つ動作/からだの軸と壁をつくる

ある中学軟式野球の試合で制球に苦しんでいる投手がいた。
ベンチからは、「軸ができてないぞー!」と指導者がアドバイスをする。
彼は、投げ方をいろいろ工夫したようだが、結局、制球は定まらなかった。
私は、彼や他の選手たちに聞いてみた。

「軸って何?」

選手たちは、首を傾げ困った様子。
一人の選手が、「よくわかりません...。」と答えた。
つづいて、制球に苦しんでいた彼も身振り手振りで説明しようとするも、
よくわからない...。

辞書によると、
軸(じく)とは、回転する物の中心となる棒、中心や基準となる直線、活動、運動の中心となるもの、
の意味。

そうすると、軸というのはヒトの運動における「重心線」ということが適当だろうか。
その指導者の方に伺うと、体幹を垂直に立てることの意味で、ようは姿勢を正して投げることを伝えたかったようです。

「軸(じく)」という表現は、ダンスや武術など各分野でもいわれています。
からだの軸をつくる、からだの軸を通す、からだの軸を整える、などカラダの軸の重要性が説かれ、様々な考え方・解釈がされているようですが、よくわかりません。
私は、辞書の意味の通りに「重心・重心線」だと解釈しています。

他にも難しい表現があります。
「泳いでるぞー!」
「開いてるぞー!」
「突っ込んでるぞー!」
おそらく、野球経験がない方はチンプンカンプンですよね???
これはバッティングフォームが崩れていることを表現しています。
つづいて、
「壁をつくれー!」
というアドバイス、これもよくわかりません。

「壁って何?」

辞書によると、
壁とは、建物の外周の部分。また、部屋などを仕切るもの、前進を阻むもの、進展の妨げとなるもの、
の意味。

そうすると、壁というのはヒトの運動における骨格の支持というのが適当だろうか。
指導者の方に伺うと、前足側に壁を作ることで、下半身を使って体幹を回転させることができる。
ようは、壁が崩れるとバッティングフォームが崩れるからフォームを保つようにということを伝えたいそうです。

「壁(かべ)」という表現は、ゴルフやテニスなどでもいわれているようです。
左足で壁をつくる、左股関節に壁をつくる、左側に壁をつくる、など、
クラブやラケットを振るとき、スイングのとき、重心移動をスムーズに行えるようにするための指導表現のようです。
私は、重心が運動方向へ移動する際の骨格支持を保つための指導表現だと解釈しています。

投げる・打つなどの動作で重心が円滑に移動するための3つの条件があります。
重心位置
運動方向
骨格の支持
最近は、骨盤や股関節などに注目されていますが、骨盤は③に含まれますし、体幹を回旋する股関節は①②にともなう運動ですので3つの条件が大切です。

私は、各競技の技術指導について素人ですので、わからないことは専門の指導者や選手に聞きます。
そして、ヒトの運動の原理原則に基づいて選手の動きを観察し、問題点・解決策を探ります。
技 術指導の方法は、指導者が十人いれば、十通りの考え方、解釈で表現されます。指導目的が、ヒトの運動ということに変わりはありませんから、表現方法が違っ てもヒトの運動の原理原則は同じはずです。しかし、ときには矛盾した指導に遭遇します。私はヒトの運動の原理原則の中で自己(指導者)をみせる技術が指導 だと考えています。決して、独りよがりな技術論が指導だとは思いません。

ヒトの重心が円滑に移動するために、経験を通して、その 運動にふさわしい感覚を表現に変換してきました。軸(じく)、壁(かべ)という表現も、おそらくは先人の感覚といったところでしょうか。選手は様々な指導 者の元で学び、その表現と感覚を確かめます。中学生の選手たちも、この先、自分なりの解釈に辿りつくのでしょう。しかし、気を付けないといけないのは、感 覚を渡す側も受け取る側も十人十色、解釈も十通りです。感覚の受け渡しとは、わかりにくいものなのです。ときには受け渡しを間違えて、カラダを壊したり、 伸び悩み、といった問題に発展するかもしれません。ですが、互いに共通の指標をもって受け渡しをすれば大丈夫です。
その指標が動トレです!

参考:骨盤前傾と後傾/股関節
参考:骨格ポジションの修正(バランストレーニングの落とし穴)
参考:深部感覚のズレ/深部感覚の入力

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