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2012年9月 7日 (金)

アスリートの深部感覚のズレ/位置覚、運動覚、重量覚

深部感覚のズレ

ヒトが生きる空間には目に見えない重力が存在している。
フィジカルトレーニングを行う上で、重力の元で動くということを絶対条件として考えなければならない

神経損傷などにより足が麻痺している場合は、重力空間を認識することができない。
なぜならば、麻痺した足には深部感覚が機能していないからである。
ヒトは、視覚、嗅覚、聴覚、体性感覚と能動的な運動により、外部環境と自分の身体とを区別でき、それが重力空間だと認識することができる。

ヒトは運動によって知覚(感覚器官を通して外界の事物や身体内部の状態を知る働き)する。
神経が繋がり電気信号が伝送すれば、一歩踏み出した足は地面の硬さ、やわらかさなどの状態を知ることができる。つまり、運動と知覚はセットであり、重力空間の認識には筋収縮が不可欠なのだ。
しかし、麻痺をした足には筋収縮が起こらない、起こせない、深部感覚を通して重力空間を知ることができないのだ。

体勢感覚とは、視覚、嗅覚、聴覚などの感覚以外で感知する感覚(表在感覚、深部感覚)。
表在感覚は外界から与えられる機械的刺激によって興奮するもので触覚、圧覚、温覚、痛覚などがある。
深部感覚は自分の運動によって刺激され興奮する固有受容器で、位置覚、運動覚、重量覚などがある。

まず、ヒトが重力空間で動くためには深部感覚が不可欠なのだ。
これは、神経損傷を経験した人ならわかると思うが、自分のカラダ内部が分からない状態というのは動きようがない。
運動神経が鈍い、というヒトがいる。
私が知る限りでは、運動神経が鈍いというより、深部感覚が鈍いといった方がしっくりくる。
つまり、自分の身体を自分の身体とわからない状態で動こうとしてバタバタしている。
動きのレベルの程度はあるけれど、一流のアスリートも深部感覚のズレで怪我に泣くケースは多い。

フィジカルトレーニングの肝は、重力空間を踏まえて骨格ポジションをセットすることだ。
構造動作トレーニングを続けている人なら気づいていると思うが、骨格ポジションを優先すると、自分の骨・筋肉・関節などがわかるようになってきて、カラダを動かしやすくなる。
これは、深部感覚が養われたということ、更に深部感覚が鋭敏になると他人がよくわかるようになる。
外部環境と自分の身体の理解度が高まるといえるのかもしれない。

深部感覚の、

位置覚とは、四肢や各部位の位置の感覚
運動覚とは、関節運動における方向や速度の感覚
重量覚とは、力や重さの感覚

である。

アスリートの深部感覚のズレは、動作ミスにつながりやすく、パフォーマンスにも影響する。
スポーツ障害といわれている筋骨格系疾患のほどんどは、最終的に深部感覚のズレを修正しなければ治ったといえない。
パフォーマンスアップのためのフィジカルトレーニングは、深部感覚を磨いて鋭敏にする。

その為には、まず骨格ポジションをセットする。
そして、動きのフィジカルトレーニングで筋肉を回復する。

*骨格ポジションセットは、趾でカラダが変わる「骨盤おこし」で身体が目覚める を参考にしてください。

深部感覚の入力

深部感覚はどのようにして生まれるのだろうか?
例えば、運動麻痺の状態では時空間が存在しない。
同時に感覚麻痺がおりなす異常感覚といわれる雷鳴のようなパルスが暗闇で血走っている。
体性神経(運動神経、感覚神経)とは別のシステムで自分の意思とは無関係にカラダの機能を調節する自律神経は緊急事体に対応しようとしている。
カラダの緊急事態に交感神経を優位にして神経損傷の回復に努めようとする。
しかし、深部感覚が存在しない壊れたカラダはその形すら幻でしかない。
深部というのだから当然、表面があるはずなのだが、外観はある、内観はない。
この状態は、客観的に見ると矛盾している、主観的には深部感覚が何処から生まれるのかわからない。

深部刺激を入力してみてはどうだろうか?
感覚麻痺(異常感覚、錯感覚、知覚過敏、知覚鈍麻、無感覚)がある状態では難しい。
例えば、知覚過敏状態では予想以上に刺激を強く感じてしまう。
外部からの機械的刺激は、時空間が存在しない内部への無差別攻撃でしかない。
感覚麻痺が落ち着いた状態ではどうだろうか?
弛緩性の麻痺状態に機械的刺激を入力するようなもの。
それは、外部からの深部刺激でしかなく、自らが生み出したものではない。
深部感覚は自分の運動によって刺激され興奮する固有受容器であり、
第3者によるマッサージや鍼刺激などで生まれない。

アスリートの深部感覚のズレは、骨のゆがみを矯正することや緊張した筋肉をゆるめることなどで修正できないということだ。
では、どうしたら深部感覚が生まれるのだろうか?
深部感覚のズレを修正するにしても、深部感覚を磨いて鋭敏にするにしても、一(はじまり)がわからなければすすめない。
私が時空間の存在しない状態から考えているのは、一(はじまり)を知るため。
深部感覚は自分の運動によって刺激され興奮する。
私たちはどこで動くのか?
一(はじまり)は、私たちが重力空間で動くということを認識できなければならない。

深部感覚は、位置覚、運動覚、重量覚など、一般に感覚が大切だ、しっかり感じて、といわれているが、そのほとんどは表在感覚のことをいっている。
例えば、バランス感覚を養う目的で行っているトレーニングが表在感覚を養うものなのか、それとも深部感覚を養うものなのか?
トレーニングの結果は、動作の質の違いとしてあらわれる。
表在感覚を養うバランストレーニングは小手先が器用になるものの、重力空間で動くということにアプローチできていない。その為、深部感覚のズレを修正することも、深部感覚を鋭敏に磨くことにも至らない。

重力空間で動くということを認識するために、外部環境とカラダの区別をつける。
(構造動作トレーニングの骨格ポジション参照)
時空間の存在しない状態でどのように外部環境とカラダの区別をつけていくのか?
表現方法が適切かどうかわからないが、カラダを集約する。
集約とは、物事を整理して、一つにまとめること。
第一関門は、物事を整理するということ。
経験や知識が豊富なアスリートにとっては、最難関ともいえる。
第二関門は、カラダを一つにまとめること。
カラダが一つにまとまれば、外部環境との区別がついたといっていいだろう。
文字にすると、簡単なこと、だが時空間の存在しない状態からは壮絶だ。
柱は骨、カラダの薄い外壁が外部環境との区別になる。
まだ、柱を感じることはできないが、確実に深部感覚が生まれる内部環境が整う。
アスリートは筋肉や各器官を単独でアプローチする習慣からカラダを一つにまとめるシンプルなアプローチする習慣へシフトする。

第三関門は、カラダを集約して動くこと。
深部感覚が生まれ、ズレを修正することも、鋭敏に磨くことも可能な状態になる。
これまで出力できないでいた筋肉を回復させながら、運動を成立させる。

筋肉の回復については、
カラダが柔らかくなる「筋トレ」!  “動き"のフィジカルトレーニング
を参照ください。

次のステージは、いよいよ構造動作トレーニングの真骨頂!
深部感覚トレーニングについてすすめていきます。

★オフィシャルサイト構造動作理論 中村考宏

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